娘の電話「私、結婚しないかも」 母が語った本当の幸せ

有料記事いつも、どこかで

若松真平
[PR]

 「若さを武器にする」というのは、失敗しても許されるという意味じゃない。

 惜しみなく教えてもらえること、意思を尊重してもらえること、期待値が勝手に仕事してくれること。

 そうした武器を与えられた状態を、ちゃんと生かすことなんだ。

 化粧品メーカーに勤める、あるちゅさん(25)はそう思って5年間働いてきた。

 後輩も増える中、「長く勤めて偉くなっていく」という将来が、おぼろげながら見えてきた。

 今の仕事は好きだけど、何か物足りない。そんな未来は自分にしっくりこない。

 そう思ったから、総合系コンサルティングファームへの転職を決めた。

母からの電話

 6月6日の夕方、母から電話がかかってきた。

 現役の建築士で、もともとインテリアの仕事が得意だった。

 父の実家がある場所に引っ越したことで、キャリアの幅を少し狭める選択をした経緯がある。

 あるちゅさんは母に、転職を機に関西を出て、上京することを伝えていた。

 母は、東京に住んでいる親戚にもそのことを伝えてくれたそうだ。

 家族というコミュニティーがあるから、遠い土地に行っても困った時に遠慮なく頼れる。

 家族や家庭っていいなと思いながら、自分は何かそういうものを残せるのだろうか、とも考えた。

 「いとこのお姉ちゃん、3人目生まれたから、なんかあったら手伝ってあげて」

 母からそう言われて、こう返した。

 「私、今世では結婚しないかもしれないから、親戚の赤ちゃんで母性満たしとくわ」

 すると、ドキッとするような、しびれるような言葉が返ってきた。

 「結婚して、子ども産んで…

この記事は有料記事です。残り1530文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    田中俊之
    (大妻女子大学准教授 男性学研究者)
    2021年7月1日7時58分 投稿
    【提案】

    男性の皆さんはこの記事を読んでどのような感想を持ったでしょうか。男性であれば自分のキャリアを追求することは「当然」であり、そこに壁を感じることはほとんどないはずです。男性にとって「当然」の選択をすることが、女性にとってはこれだけの葛藤を生み

    …続きを読む