ドタバタ続きの地元対策をてこ入れ 防衛省が組織改編へ
九州や沖縄で基地整備を急ぐ防衛省が、地方対策を担う地方協力局の改編・強化を進めている。改編計画では、大規模事業を担う幹部を増員し、日本を東西に分けた地域別の担当や在日米軍、環境問題を担う部署を新設してきめ細かな対応をめざす。九州・沖縄では地元とのあつれきが問題となっており、地方との関係を立て直し、防衛力強化を円滑に進める狙いがある。
地方協力局の大規模な改編は、防衛施設庁の廃止に伴って同局が設置された2007年以来初めて。防衛省幹部は「省として地域との関係を重視していく意思表示だ」と狙いを語る。
防衛省が地方対策を担う部局を強化する背景には、海洋進出を強める中国を念頭に九州や沖縄で進める自衛隊の増強や基地整備の重要性が高まる一方で、地元との関係作りがうまくいっていない現状がある。
佐賀空港(佐賀市)に陸上自衛隊のオスプレイを配備する計画では、地元対応を担う九州防衛局が一部地権者だけに説明会を開き、地元漁協が強く反発。防衛省への不信感から交渉が滞る事態に陥っている。米軍訓練移転を計画する馬毛島(鹿児島県西之表市)では移転反対を唱える現職市長が再選し、地元での理解獲得が課題となっている。
秋田、山口両県で計画していた陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備では、防衛省のずさんな調査や地元への不誠実な対応で住民の反発を招き、昨年6月に計画が頓挫した。
防衛省では、近年最新鋭の防衛装備品や戦闘機の導入を急ぐ一方、騒音や事故のリスクなど負担を受け入れる地元の自治体や住民への対応が、後手に回ってきたとの反省がある。地方でのトラブルは防衛政策の足元を揺るがしかねず、課題噴出に危機感を強めた地方協力局から改編を求める声が上がり、島田和久事務次官も強く後押し。防衛省関係者は「イージス・アショアと同じ轍(てつ)を踏むわけにはいかない。改編を通じて、省全体の体質が変われるかが問われている」と語る。
5月下旬に自民党に示した地…
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