四国新幹線って、本当に実現するの?
栗林ばく 「四国新幹線」ってよく聞くけど、そもそもどんな計画なの?
A 話は50年近く前の1973年にさかのぼるんだ。この年、全国新幹線鉄道整備法に基づいて、大阪―徳島―高松―松山―大分間の「四国新幹線」と、岡山―高知間の「四国横断新幹線」が基本計画に盛り込まれたんだ。
ばく ずいぶん古いね。でもなかなか壮大な計画なんだね。今もこのルートの実現を目指しているの?
A いや、海を渡る大阪―徳島間と松山―大分間は、建設費がとても高くなる。そこで、四国4県や経済団体などが2017年につくった「四国新幹線整備促進期成会」は、海峡部を「棚上げ」し、すでに新幹線の線路を通すスペースがある瀬戸大橋を経由する、岡山と高松、徳島、松山、高知をそれぞれ結ぶルートを四国新幹線と総称して実現を国に求めているんだ。
ただ、徳島と淡路島を結ぶ大鳴門橋にも新幹線を通すスペースがあるので、徳島県ではいまだに大阪―徳島間の実現を求める声も消えていないよ。
ばく 「整備新幹線への格上げ」という言葉をよく聞くけど。
A 基本計画のままでは着工の見通しは立たない。整備計画になれば、着工への道筋が見えてくる。期成会は、工事中の北陸、西九州、北海道といった整備新幹線が完成すれば、「空き」が出ると見て国に格上げを求めている。
ばく 新幹線が通るメリットは何だろう。
A なんといっても、京阪神―四国間や四国の都市間の到達時間が大幅に短縮される。新大阪までは松山から1時間38分、高知から1時間31分で、乗り換えなしで行けるようになる。いずれも現在の鉄道利用の半分以下の時間に短縮される。四国の県都間も20分~1時間程度で結ばれるようになるんだ。
ばく そんなに便利なら早く建設すればいいのに。
A そう簡単な話ではないんだ。まずはやっぱり、海峡部を除いても1兆5700億円に上ると試算されている巨額の建設費が大きな課題なんだ。建設費を抑えるため、これまでの新幹線にはない単線で整備するという案さえ出ているよ。
経営が成り立つのかも気になるところ。また、利用者が減少して経営が苦しいJR四国の並行在来線が廃止されたり、経営が分離されたりする心配もある。
ばく 実現の可能性はあるのかな。四国の人たちはどう思っているの?
A 期成会はリニア中央新幹線の品川―新大阪間の運転が始まる予定の2037年に、四国新幹線も合わせて開業することを目指しているんだ。四国の官民が一体となった期成会は、新幹線を誘致している全国の他地域でも珍しい組織なんだ。
でもね、住民には無関心というより、「どうせできないよ」という諦めムードが強い。期成会は、瀬戸大橋や瀬戸内しまなみ海道などの本四架橋のときのように住民の機運を高め、実現への弾みをつけようとしているんだ。
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「栗林(くりばやし)ばく」は朝日新聞高松総局の公式キャラクター。香川県の形に似た姿が自慢。県産小麦「さぬきの夢」のうどんが好物。栗林(りつりん)公園に出没する。
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