国産ワクチン 初期の解析結果を発表 新型コロナ
製薬企業のアンジェス(大阪府茨木市)などが開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、第1段階の小規模な臨床研究(治験)の結果、接種した人の6~7割でウイルスの感染を防ぐ「中和抗体」が確認された。実際に発病を防ぐ効果を調べる大規模な治験の計画は決まっていないという。アンジェス創業者でもある森下竜一・大阪大学寄付講座教授が9日、日本記者クラブの講演で発表した。
アンジェスは、ウイルスのたんぱく質をつくるDNAを使った新しいタイプの「DNAワクチン」を阪大と共同で開発し、昨年6月から60人を対象にした第1段階の治験を始めた。そのうち30人を対象に阪大で行われた治験の解析結果の一部が今回発表された。
ワクチンの量や接種間隔を変えて調べたところ、4週間隔で2回接種した10人のうち6人、2週間隔で3回接種した10人中7人で中和抗体が確認された。ワクチンによって抗体ができるだけでなく、細胞性免疫と呼ばれる免疫の働きも高まることも確認した。
アンジェスは第2段階の500人規模の治験も進めており、結果を解析中だが、その後の治験計画は未定だという。
現在、国内で使われている輸入ワクチンは、数万人の大規模な治験を行い、実際に発病を防ぐ高い効果が認められたものだ。すでに効果が高いワクチンが実用化されている中で、同じような大規模治験を行うことは難しくなってきている。大規模な治験をせずに、代替の試験方法も検討されているが、実用化の時期についてはわからないとした。