富山・高岡市が会計操作 三セクへ「一夜貸し」繰り返す

竹田和博 波多野陽
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 富山県高岡市が、市の第三セクター「オタヤ開発」に単年度の短期貸し付けを繰り返して元本返済を事実上先延ばしにする「オーバーナイト」(一夜貸し)と呼ばれる会計操作を2004~19年度に行っていたことが、市などへの取材でわかった。総務省は14年の通知でオーバーナイトをやめるよう全国の自治体に求めたが、高岡市はその後も5年にわたって続けていた。

 オーバーナイトは、自治体が短期の貸し付けを三セクなどに行い、年度末に民間からの借金でいったん返済してもらった上で、翌年度再び貸し付ける会計操作。今もごく一部の自治体が解消できていない。

 市などへの取材によると、市は04年度、資金不足に陥ったオタヤ開発に8億円の単年度の短期貸し付けを実施。オタヤ開発はその返済を、年度末に他企業から一時的に借り入れた資金でまかない、翌年度には市から借り受けた資金でその企業に返済する……というサイクルを、途中、貸し付け額を5億6千万円まで減らしつつ、繰り返していた。

 この会計操作は自治体の財政指標をよく見せるが、借金の先送りそのもので、将来にリスクを回す。総務省は14年の通知でオーバーナイトを問題視。「破綻(はたん)時に自治体に大きな影響を及ぼす」「(短期貸し付け)制度の趣旨を逸脱している」とし、支援が必要なら、長期貸し付けや補助金に移行するよう自治体に求めた。

 ただ、市は指摘後も、19年度までオーバーナイトを継続し、20年度に短期貸し付けを4億6千万円の長期貸し付け(25年償還)に切り替えた。解消が遅れたことについて、市商業雇用課は「通知を受けて解消を検討したが、オタヤ開発や他のステークホルダー(利害関係者)と19年度まで(オーバーナイトを)続ける取り決めがあった」と説明する。

 市中心部にある商業ビル「御旅屋セリオ」を運営する同社は、19年度の決算で、不動産売却に伴う特別損失を計上し、28億5600万円の債務超過に陥ったことが判明。また、セリオに入居していた百貨店の大和高岡店の19年8月の撤退に伴う賃料収入の減少が響き、収支も悪化している。

 事業を継続させたい市は今年3月に経営健全化方針を策定したが、同社の具体的な収支改善の見通しは示していない。長期貸付金の回収めどについて、市の担当者は「リスクがないわけではないが、契約に基づいて返済をしてもらうものだと考えている」としている。(竹田和博、波多野陽)

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