出生減、低賃金にコロナ追い打ち 「自分で精いっぱい」

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久永隆一 石川友恵
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 出生数が84万人まで落ちこんだ2020年の人口動態統計からは、新型コロナウイルスの感染拡大が、日本の少子化に追い打ちをかける構図が浮かぶ。長引く経済の停滞で将来が見えず、子どもを持つことに踏み出せない状況に、コロナ禍が直撃。感染への不安から妊娠を控える動きだけでなく、出会いの機会や結婚も減り、「緊急事態だ」との指摘があがる。

「家族支援へ大胆に予算を」

 「子どもを産め」と受けとれる政治家の発言がニュースになるたび、都内の40代女性はため息をつく。「私たち世代が少子化を進めたと言われたみたいで。子どもを持つ将来を選びたくても、選べなかった」

 就職氷河期世代だ。女性はファッションの専門学校を卒業してアパレルの正社員を探したが、面接にも進めなかった。「自己責任のように言われますが、非正規から選ぶしかなかった」

 20歳を過ぎ、初めて就いた職が洋服店のアルバイトだった。少しでも待遇の良い仕事を求め、派遣社員としてコールセンターでも働いた。キャリアの大半は非正規雇用。勤めた職場の数は覚えきれない。手取りは月20万円前後で、次の派遣先が決まらず、収入ゼロの時期もあった。不安定な就労のなかで貯金はできなかった。

 恋人はいた。結婚したら子ど…

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この記事を書いた人
久永隆一
さいたま総局次長
専門・関心分野
社会保障、教育、こども若者、貧困、人口減少