デジタルがくれた「奇跡の学び」 みんなと一緒に学べた
編集委員・宮坂麻子
「奇跡の学び」。周囲からそう言われた学習を始めてから、6年が過ぎた。
今春、佐賀県武雄市の永石日香莉さん(12)は、地元の市立川登中学校に入学した。母の美恵子さん(48)は「友達もいる地元の中学で学べてありがたいです」と、インクルーシブ教育が実現したことに喜ぶ。
生まれてすぐに四肢短縮症と診断され、首がすわったのは5歳。難聴で視力も弱い。身長も体重も、同年齢の子どもの半分以下。生後5カ月で気管切開し、たんの吸引など24時間の医療的ケアも必要だ。小学校入学まで、ほとんど声を出したことがなかった。嫌な時は足をバタバタさせるか、黙って涙をこぼす。ベッドで横たわる日々だった。
だが、小学校入学前、学校でiPadとiPhoneを渡されると、両方で子どもっぽいマークのアプリを次々と開いた。遊べるものを探す姿に、学校側は「学習はできるかも」と判断。地元小学校の特別支援学級で、デジタル機器を使った教育が始まった。
小1から、コミュニケーショ…