命と防災を考える花「あいりちゃん」満開に 宮城・石巻

原篤司
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 東日本大震災で亡くなった宮城県石巻市の佐藤愛梨ちゃん(当時6)ゆかりのフランスギクの白い花が、3月に開園した石巻南浜津波復興祈念公園の花壇で満開となっている。花に込められた思いを知ってもらおうと、花壇のわきには愛梨ちゃんの似顔絵入りの看板が設置された。

 花壇は公園の北側で、先月11日に掛け替えられた「がんばろう!石巻」の看板の隣接地にある。愛梨ちゃんが好きだったハート形を組み合わせ、クローバーや虹をイメージしたれんがの枠で囲われている。空の上の天国から見て楽しんでもらうためだ。日本造園建設業協会県支部が材料を用意して作り、寄贈した。

 今月25日、この花を通した震災伝承活動を続けている「アイリンブループロジェクト」のメンバーらが集まり、似顔絵入りの看板を設置。新たにアジサイやマリーゴールドも植えた。

 市内の私立日和幼稚園に通っていた愛梨ちゃんは、送迎バスに乗っていて津波と火災に巻き込まれた。2015年5月、亡くなっていた場所でフランスギクが咲いているのが見つかった。愛梨ちゃんの母美香さん(46)らは、この花から種を採って育て、「あいりちゃん」と名付けて商標登録をした。

 愛梨ちゃんの名前を冠した「プロジェクト」は、種や苗を全国各地で増やし、花と一緒に命の大切さや震災の教訓を伝えようという取り組みだ。震災10年の今年3月11日には、全国の支援者に育ててもらった苗を花壇に植えた。

 愛梨ちゃんの誕生日は今月31日。美香さんは「生きていれば17歳になる。どんな女の子になっていたのかと想像しながら、この花と一緒にいろんなことを伝えていきたい」と話した。

 今回設置された看板には、妹の珠莉ちゃん(13)が3年前に手書きした文章が記されている。「命そして防災について考えてもらうための花です」と紹介。「たくさんの人にかわいがってもらえるとうれしいです」と結んでいる。

 フランスギクの見ごろは6月中旬ごろまで。

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この記事を書いた人
原篤司
高知総局
専門・関心分野
防災、司法、民主主義、漁業、起業、韓国文化