「世界遺産に近づくとは」空港道路の予定、掘ったら遺跡

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加賀谷直人
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 大湯(おおゆ)環状列石(秋田県鹿角市)と伊勢堂岱(いせどうたい)遺跡(北秋田市)の県内2遺跡を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」について、諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」が26日、ユネスコ世界文化遺産登録を勧告した。2013年から5年連続で漏れ続けた後、国内推薦候補になったのは18年。苦難の道のりが続いただけに、両遺跡の関係者は朗報に沸いた。

 伊勢堂岱遺跡は大館能代空港のアクセス道路建設に先立ち、1995年に始まった発掘調査で見つかった。縄文時代後期の葬祭を知る上での第一級の貴重な遺跡。保存を訴え、ガイドの活動を続けてきた伊勢堂岱遺跡ワーキンググループの佐藤善寿代表(88)は「発掘当時は世界遺産に近づくなどとは思ってもいなかった。この遺跡は4千年前の縄文の精神的な価値観が手つかずに残っている。全国の人に見てほしい」と喜んだ。

 大湯環状列石は野中堂(最大径44メートル)、万座(同52メートル)を中心とする縄文時代後期(約4千年前)の大規模遺跡。約7キロ離れた川の石が使われている。それぞれの環状列石の中心の石と日時計状組石が一直線に並び、夏至の日没の方向を指している。

 ガイド団体「大湯SC(ストーンサークル)の会」の奈良祐治会長(63)は「(世界遺産になれば)鹿角のユネスコの文化遺産は大日堂舞楽、花輪ばやしに加えて三つになる。毛馬内の盆踊りも世界遺産登録を目指している。十和田八幡平国立公園の自然資源のほか、文化的価値も上がる。滞在型の観光を目指す上で、市や業者は企画を立てやすくなる」と今後に期待を寄せた。

 縄文遺跡群は北海道、青森…

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