北鉄 赤字最大20億円、コロナで利用客減 石川

佐藤美千代
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 北陸鉄道(金沢市)は19日、2021年3月期の連結決算を発表した。新型コロナの感染拡大で利用客が大幅に減少し、営業収益は前期比40・6%減の77億7500万円、最終的なもうけを示す当期純利益は20億3100万円の赤字(前期は4億100万円の黒字)となり、連結決算を始めた01年3月期以来、過去最大の赤字となった。

 また、宮岸武司社長は会見で、生活路線バスと鉄道事業は今後、単独で運営継続は困難だとして、県や沿線市町に支援を求める考えを示した。特に鉄道については「路線を残すなら財政支援をいただくのか、(施設を自治体が保有する)上下分離か、第三セクターのような形がいいのか。早急に話をして詰めなければならない」とも語った。

 主力の運輸業は観光客の激減や外出自粛が響き、乗り合いバスは前期比37・1%、高速バスは80・1%、貸し切りバスは72・1%、鉄道は25・6%の減収だった。コロナ禍前の需要が戻る見通しは立っておらず、22年3月期の業績予想は見送った。収支改善策として、すでに公表した一部の回数券の販売終了などに加え、運賃の見直しや減便を検討するという。(佐藤美千代)

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 過去最大の赤字を受け、同社は、グループのバス会社で使えるICカード乗車券「ICa(アイカ)」で、積み増し時に入金額の10%を上乗せするなどの特典や、バス・鉄道の回数券の一部の販売を6月末で終了する。負担の大きいサービスを見直し、収支の改善を図る。

 ICaは2004年に販売を始め、特典分の金額は19年度が約1億8千万円、20年度は約1億4千万円に上った。ICaでバスを利用した際、利用額100円あたり1ポイントを加算して100ポイント単位で運賃として利用できる還元サービスや、乗り継いだ場合の割引は続ける。

 また、ICaが使える金沢地区では、千円で1100円分を購入できるバス用など4タイプの回数券の販売をやめる。これらの回数券は19年度に計約4万8千枚を売り上げた。能登・加賀地区では引き続き、回数券を販売する。

 同社は「お客様にはご不便をおかけするが、事業継続のためにやむを得ない」と理解を求める。ニーズに応じた新規路線の開拓やダイヤの改正で、利便性を高めたいという。

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