イスラエルとハマス、停戦に合意 エルサレム問題棚上げ

エルサレム=清宮涼 ワシントン=園田耕司
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 武力衝突を続けてきたイスラエルパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスなどの武装勢力が21日午前2時(日本時間午前8時)、停戦に入った。11日間にわたる戦闘で多くの市民が犠牲となり、国際社会から停戦を求める声が高まっていた。エジプトなどの仲介が奏功したが、停戦が長く続くか懸念は残る。

 イスラエルは20日夜、治安閣議で、エジプトが主導した「相互かつ無条件」の停戦案を承認した。ロイター通信によると、ガザ地区を実効支配するハマスの幹部は「イスラエルが合意に従う限り、合意に従う」と述べた。

 ガザ地区の保健省によると、これまでの死者は子ども65人を含む232人に上る。イスラエル軍は10日夜以降、ガザ地区で空爆を続け、ハマスの地下トンネルなど「軍事拠点」を破壊した。ネタニヤフ首相は21日、「ハマスにひどい損害を与えることができた」と述べた。

 一方、イスラエル軍によると10日以降、ガザ地区からは4340発のロケット弾が発射された。イスラエル国内ではこれまで12人が死亡した。ハマス側は、停戦を「抵抗運動の成功」とする見方を示している。

 エジプトは、停戦を監視するために代表団を送ると明らかにしている。

 米国のバイデン大統領は20日、停戦を受けてホワイトハウスで演説し、米国が今回の軍事衝突をめぐって「強力な外交的関与」を行ったと強調。エジプトの仲介にも感謝を示した。バイデン氏は「米国は、イスラエルが自衛の権利をもつことを強く支持している」と述べたうえで、「ハマスなど、ガザ地区を根拠地とするテロリストグループは何の罪もない市民の命を奪ってきた」とも批判した。

 今回の衝突は、イスラエル占領下の東エルサレムパレスチナ人が退去を求められたことや、イスラエル治安当局と衝突したことなどを機に拡大した。ハマスは今月10日、報復としてエルサレムなどに向けてロケット弾を発射し、イスラエルによる空爆へと展開した。今回の停戦条件では、エルサレムをめぐる問題に触れられていない。ロイター通信によると、ハマス幹部は「銃は下ろしていない」としており、停戦が短期で終わる可能性が残っている。(エルサレム=清宮涼、ワシントン=園田耕司

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