検査を省く「スピード車検」、トヨタの足元で衝撃の不正

有料記事経済インサイド

三浦惇平 千葉卓朗
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 短時間で手軽に完了する「スピード車検」を売りにする自動車販売店で、不正車検が発覚した。スピードを重視するあまり、検査業務の一部を不正に省いていたのだ。その店は、トヨタ自動車の販売を歴史的に支えてきた愛知県内の老舗販売グループの傘下。トヨタ自動車本体にも衝撃を与えた。不正の手口とは。

 不正車検をしていたのは、「ネッツトヨタ愛知 プラザ豊橋店」。愛知県・東三河地方の中核都市である豊橋市の中心部に立地し、ネッツトヨタ愛知の県内約30の全店舗中、車検台数は最多だった。

 不正の発覚は昨年12月、国土交通省中部運輸局の監査がきっかけだった。その後、ネッツトヨタ愛知が過去2年間の車検を調査。担当した検査員への聞き取りで、2018年12月以降の2年間に受け付けた全車両で検査の一部を不正に省いていたことがわかった。その台数は5158台にのぼる。法令で定められた検査の一部を意図的に省き、虚偽の内容を整備記録簿に記載。道路運送車両法に違反する不正車検だった。

最短45分で作業

 今回の不正車検で象徴的なのは、短時間で検査が完了する「スピード車検」で起きたケースだ。ネッツトヨタ愛知が10年以上前から全店で展開していたのが、最短45分で作業する「45(ヨンゴー)車検」。「スピード」が売りのサービスだが、プラザ豊橋店では、適正に検査することよりも、「時間内に作業を終えること」の方が重視されるようになった。これが、不正に作業を省く要因になったとみられている。

 不正に省いた検査項目は複数あり、車種によっても異なる。だが、多くは、手間や時間がかかる作業だった。

 その一つが、排ガスの成分検…

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