男女平等6位のナミビア 120位の日本が学ぶべきこと

有料記事今さら聞けない世界

笠原真
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 3月に世界経済フォーラム(WEF)が発表した最新のジェンダー平等ランキングで120位だった日本。上位に、常連とも言えるアイスランドやフィンランドといった北欧諸国ニュージーランドが並ぶ中、6位に入ったのがアフリカ南部のナミビア。アフリカ諸国の中でも最上位で、前回の12位からランクを上げています。ナミビアでジェンダー平等が進んでいる理由を京都大学の永原陽子名誉教授(南部アフリカ史)に聞くと、その背景には長く差別に苦しんできた同国の歴史があることが見えてきました。

 ――ナミビアがジェンダーギャップ指数ランキングで過去最高の6位になりました。そもそもどのような国なのでしょうか。

 6位とは少し驚きましたが、実は、ナミビアはジェンダー平等に関する取り組みで先進的な国です。1990年に隣国の南アフリカから独立した、アフリカ諸国でも若い国の一つです。1884年にドイツの植民地となり、第1次世界大戦以降は南アフリカに統治されてきた過去があります。当時は「南西アフリカ」と呼ばれていました。

 南アフリカの人種隔離政策として知られるアパルトヘイトがナミビアでも実施され、白人と非白人の居住地が分けられ、土地や富を白人が独占した一方、非白人は政治的にも経済的にも完全な無権利状態におかれました。そうした状況下で独立運動の中心となったのが、南西アフリカ人民機構(SWAPO)です。1960年代には武装闘争が始まり、指導者がネルソン・マンデラと同じロベン島の監獄に送られるなど、徹底的な弾圧を受けてきました。ようやく89年に国連監視下で選挙が実施され、90年3月に独立を果たしました。

 ――こうした歴史は、現在のジェンダー平等にどうつながっていくのでしょうか。

 ナミビアの独立は、人々が植民地支配と人種差別に対する闘いを通じて勝ち取ったものです。それゆえ、人種、民族、性別などあらゆる差別を否定することこそが建国の精神とされ、独立時に制定された憲法には、歴史的に作られてきた差別を克服するためのアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)の採用が明記されました。世界的に見てもきわめて先進的な憲法です。性差別と植民地主義、人種主義が不可分の関係にあったことが広く認知されていることはきわめて重要です。

 ――ナミビアの代表的なジェンダー平等政策を教えてください。

 国政では男女の国会議員数の…

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