学者・映画監督ら「6人速やかに任命を」 学術会議問題

編集委員・北野隆一
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 日本学術会議の会員候補6人の任命を菅義偉首相が拒んだ問題で、学者や映画監督らが20日、東京都内で記者会見した。6人を速やかに任命し、学術会議が政府から独立すべきだとする自民党改革案などによる政治介入をやめるよう求める声明を発表した。

 会見したのは翻訳家の池田香代子さん、内田樹・神戸女学院大名誉教授ら。学問の自由だけでなく、表現の自由全体にかかわる問題だとして、ノーベル賞受賞者の益川敏英白川英樹の両氏のほか、映画監督の山田洋次さんや作家の赤川次郎さん、俳優の渡辺えりさんら映画、音楽、芸能、文学などに携わる表現者やジャーナリストら125人が賛同人に名を連ねた。

 声明では、政府・自民党が6人の任命を拒否したまま「政権の思うままの学術総動員体制の道具として日本学術会議を改変する改革案を一方的に提出しようとしている」として、自民党の改革案にもとづく法改正の動きを批判。「学術会議がときの政権の思い通りの組織に改編され、学問の自由が奪われるならば、科学は批判の力を持たない政治の召使になる」と強い懸念を表明している。

 声明をとりまとめた佐藤学・東京大名誉教授は、「任命拒否に対し、1500を超える学会が抗議したが、いまだに首相からは何の説明も行われていない。学問の自由をめぐる最大の危機だ」と語った。

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この記事を書いた人
北野隆一
東京社会部
専門・関心分野
北朝鮮拉致問題、人権・差別、ハンセン病、水俣病、皇室、現代史
日本学術会議問題

日本学術会議問題

菅義偉首相(当時)が2020年、日本学術会議が推薦した学術会議会員候補のうち6人を任命しませんでした。学術会議は「学術の独立性」を掲げて反発。政府・与党は、論点をずらす形で一方的な組織改革を進めました。関連ニュースをお伝えします。[もっと見る]