余剰ワクチンは現場職員へ… 廃棄ゼロへ自治体が対応策
新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、接種予約のキャンセルなどで余った分が廃棄される事態が相次いでいる。ワクチンの供給量が限られているなか、感染対策の「切り札」を無駄にしないように、自治体が対策をとり始めている。
「優先順位や公平性を大事にしつつ、大切なワクチンを無駄にしないことを最優先にしていきたい」。京都市の門川大作市長は16日、記者団にそう話した。
京都市によると、廃棄は12日と13日、二つの高齢者施設の入所者や職員を対象に接種した際に起きた。1施設では、受ける予定だった職員2人が急な勤務交代で接種できなくなり、代わりに受けられる人も見つからなかった。もう1施設では、そもそもワクチンを使い切れる人数をそろえられなかった。市はワクチン1瓶が5回分として接種計画を作っているが、この施設ではこの日、39人しか接種対象者がいなかった。
全国各地で12日から始まった高齢者約3600万人向けの接種では、米製薬大手ファイザー社製のワクチンが使われる。主に流通している注射器では1瓶あたり5回分を取れる。接種のために医療機関などで希釈した後は使い切らなくてはならず、余っても後日に使い回すことはできない。
こうしたワクチンの廃棄が起きていることを受け、政府は自治体に柔軟な対応を求めている。河野太郎行政改革相は13日、「まったく制約はないのでワクチンが廃棄されないように、現場対応でしっかりと打っていただきたい」と語った。
京都市では、接種を実施する高齢者施設に対し、キャンセルが出た場合には代わりに受けられる人を事前に決めておくよう求めることにした。市の担当者は「翌日の接種予定者を前倒ししたり、併設事業所の職員に接種したりするなど、柔軟な対応をお願いしていく」としている。
他の自治体も対応策を練っている。
大津市では12日、当日にな…