核廃絶「停滞・悪化のスパイラル」 ひろしまレポート

核といのちを考える

東郷隆
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 広島県は14日、核兵器廃絶に向けた各国の2020年の取り組みを評価した「ひろしまレポート」を発表した。今年1月に発効した核兵器禁止条約について、核保有国・同盟国と非核保有国との間の亀裂が深まっていると指摘。「核問題を巡る状況は停滞・悪化のスパイラルに陥っている」と批判した。

 昨年は新型コロナウイルスの影響で核不拡散条約(NPT)再検討会議が延期となった。この点にも言及し、「世界がコロナ対策に追われ、核軍縮問題への関心は後退したかに見られた」と指摘した。

 世界に核兵器は約1万3400発あり、9割以上を米ロが保有している。米国の核軍縮の取り組みについては、日本が国連に提出した核兵器廃絶決議案の共同提案国となったことや、核弾頭を継続廃棄している点を考慮して評価を上げた。

 一方、ロシアや中国、北朝鮮については、核兵器の近代化や強化を進めているなどとして、いずれも評価を落とした。米ロは今年2月に新戦略兵器削減条約(新START)の5年延長で合意したが、レポートには反映していない。

 対象国は、NPTの加盟国と非加盟国を含む計36カ国。核軍縮、核不拡散、核セキュリティーの3分野計65項目で評価した。(東郷隆)

■核保有国の核軍縮に向けた取り組みの評価

(※「ひろしまレポート2021年版」から作成。カッコ内は保有核弾頭数)

NPT加盟国=101点満点

・英国(195~215発) 27点

フランス(290発) 20.3点

・米国(5800発) 14.1点

・中国(320発) 6.5点

・ロシア(6375発) 2.7点

NPT非加盟などの4カ国=98点満点

・インド(150発) 1点

パキスタン(160発) -3点

イスラエル(90発) -4点

・北朝鮮(30~40発) -8点

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