NHK聖火リレー、30秒の空白 当事者に聞いたその時
NHKが聖火リレーに同行し、毎日生配信を続けている特設サイトの映像に、音だけ30秒の「空白」があった。そのとき現場では、五輪反対の運動が繰り広げられていた。いったい何があったのか。
「NHKは121日間の東京オリンピック聖火リレーに同行 聖火をつなぐランナーの姿を伝えます」
そんな触れ込みで、NHKは聖火リレーを伝える特設サイト「聖火リレー ライブストリーミング」を開いている。東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の協力のもと、正面からランナーを映したライブ映像を見ることができ、後からでもランナーごとの動画を視聴できる。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、沿道では「密」を避けた応援が呼びかけられており、NHKも「応援・観覧は特設サイトをぜひご利用ください」と呼びかけてきた。
音が消えた30秒
音声が消える「異変」があったのは、リレー8日目の4月1日夕刻、長野市から男性ランナーの走りを伝えた2分21秒間の映像の中でのことだった。
沿道からの拍手や声援を受け、トーチを手にした男性がにこやかに走り出す。まもなく「聖火リレーに反対」「オリンピックはいらないぞー」という声が聞こえてくる。その直後、音声はぷつりと途切れ、約30秒後に少しずつ音が聞こえるようになった。音が完全に戻ったときには、抗議の声は聞こえなくなっていた。
このとき、沿道では10人ほどが五輪への抗議活動をしていた。その一人、江沢正雄さん(71)は帰宅後、ライブ配信を見ていた妻から音声が消えていたと知らされ、驚いた。「技術的なことはよくわからないけれど、意図的に声を絞ったのだとしたら、その後ろにある意思というか思想というか、表現の自由を踏みにじられたと思えてしまう」と話す。
この日、江沢さんたちは「密…
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