【静岡】その防災情報、リツイートして大丈夫?――静岡大学教育学部の塩田真吾准教授(39)が、LINEみらい財団と共同で、災害時の情報リテラシーを学ぶ「情報防災訓練」の教材を開発した。子どもたちに情報を見極める力を持って発信してほしい、との狙いがある。

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 同大学付属島田中で3月10日、教材を使った公開授業があった。

 3年生103人が参加。体育館で3~4人ずつのグループで車座になり、二つのワークに取り組んだ。状況設定は、「住んでいる市に大型の台風が近づいてきた。家族と自宅の2階にいて、スマートフォンで様々な情報を集めている」。

 生徒には8枚ずつスマホ大のカードが配られた。カードにはSNSのツイッターを模して、災害情報と発信者名、発信時刻、リツイートやコメント、「いいね」の数が記されている。

 一つ目のワークで、生徒らは2枚のカードを引いた。カードにはそれぞれ、11時50分と19時10分とあり、その時点で情報を拡散(リツイート)すべきか否かを判断した。塩田准教授が「発信時刻もよく見て。古い情報を拡散すると混乱の元になるよ」とアドバイス。

 二つ目のワークでは8枚を信頼度の高い順に並べた。一人の男子生徒が、発信者「田山市役所」(自治体名は架空)の横に青いマークが付いているのを見つけた。「公式マークが付いているツイートは信頼できると思う」。逆に公式マークのない「山田一郎(防災大学)」について、生徒らは、「信頼できるに分類したけど、もう少し他の情報もないと、判断できないかも」。

 塩田准教授は判断の根拠を考えるキーワードを「だ・い・ふく?」とした。「誰が言ったの?」「いつ言ったの?」「複数の情報を確かめた?」の頭文字だ。特にまとめサイトや伝聞情報は、他の情報と照らし合わせて信憑性(しんぴょうせい)を確かめる必要があるという。

 塩田准教授は「災害時のデマは悪意ではなく、人の役に立ちたいという使命感や善意が広めてしまうことがある」と警告した。その上で「これからの防災はSNSでの発信を有効に使えるかどうかがカギになる」と述べた。

 ワークに参加した村松恒之介さんは「SNSは、デマが多いから関わらない方がいいと思っていたが、発信を通してぼくも社会に貢献できるとわかった。手始めにニュースからリツイートしてみようかな」。藤谷由衣さんは「これまでコメントやリツイート数に注意を払っていなかったが、情報の確からしさを判断する助けになると知った」と話した。

 教材はLINEみらい財団のホームページ(https://line-mirai.org/ja/events/detail/24別ウインドウで開きます)から無料でダウンロードできる。小学校高学年から高校生が対象。学校や団体から、オンラインでの出前授業の依頼も受け付けている。(阿久沢悦子)

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