介護のにおい、嫌だった私 やまゆり園事件で感じたこと

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聞き手・中島鉄郎
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ソーシャルワーカー 金井聡さん

 大学卒業後、15年近く障害福祉の仕事をしてきました。ただ、仕事を選ぶ際、排泄(はいせつ)ケアがある職場をどこかで避けたように思います。学生時代の実習で行った施設で、強烈なにおいに嫌悪感を覚えた経験があったからです。

 2016年、相模原市の「津久井やまゆり園」で殺傷事件を起こした元介護職員は、排泄処理ができないような重度障害者を狙いうちにしました。排泄ケアのにおいが嫌だった自分にも、こうした差別意識が隠れているのではと感じていました。

 かないさとし 1977年生まれ。一橋大学大学院博士課程。社会福祉士・精神保健福祉士。NPO、市民活動の相談員や生活困窮者支援も。

 介護現場で働く人たちは、においにどう向き合っているのか。大学院では、介護をめぐるにおいや嗅覚(きゅうかく)の問題を修士論文の研究テーマとしました。

 介護の現場では、においは正面からあまり語られません。問題にすること自体、仕事のモラルにかかわるとみなされているようです。そこで障害者や高齢者の排泄ケアを含む身体介護の経験がある介護職の方々にインタビューし、それを論文にまとめました。

 その方々の共通点は、においの感じ方が本人の経験、記憶に強く結びついていると考える点でした。

 ある方は、相手をよく知ると…

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