総務省、少なすぎる会食の届け出 「接待隠し」が横行か

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豊岡亮 藤田知也
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 総務省幹部が所管する通信・放送分野の東北新社とNTTから高額な接待を受けていた問題で、民間の所管業界を受け持つ他省庁に比べ、総務省は利害関係者との会食の届け出がかなり少ないことが内閣人事局の資料でわかった。意図的に届け出をしない「接待隠し」があった疑いもある。

 国家公務員倫理法にもとづく倫理規程では、利害関係者が飲食費を負担する接待を禁じているほか、1人1万円超の利害関係者との会食は割り勘であっても事前に届け出る必要がある。

 主な省庁の直近5年間(2015~19年度)の届け出数をみると、最多の農林水産省が計413件、次いで多い経済産業省は計350件だった。

 件数の多さは、農林水産業や製造・流通業など所管業界の実態把握が政策遂行で重視されるからだ。農水省は「生産者の声を政策に反映するため、会食回数は多い」(担当者)としつつ、同省でも鶏卵業者による幹部接待が発覚したことから「ルールに従って襟を正したい」。18年度以降に年100件超と激増した経産省は「意見交換は萎縮せず積極的にし、届け出も徹底させている」(担当者)という。

 金融庁では、90年代の旧大蔵省の接待汚職によって倫理法令ができた経緯もあり、検査・監督の担当部局の全職員にとって金融機関側が利害関係者にあたると内規で定める。担当者は「過去の苦い経験を踏まえ、金融機関との接触には気を使っている」と話す。

 一方、総務省は過去5年で8件。17年度は1件で、18~19年度はゼロだ。届け出数の少なさに「え、本当?」と驚く他省の人事担当者もいた。財務省国家公安委員会より下回るが、発覚した接待だけでも、実態にそぐわないのは明白だ。

 東北新社の接待では、約40件のうち半数超が1人1万円を超えた。NTT側の接待は4回すべてが1万円超だが、どれも届け出はなかった。届け出がゼロの18~19年度にも、山田真貴子・前内閣広報官(元総務審議官)が東北新社から7万円超、谷脇康彦・前総務審議官がNTT側から2回、計8万円近い接待を受けるなど、多数の接待が確認されている。

 朝日新聞の取材では、通信・…

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この記事を書いた人
藤田知也
経済部
専門・関心分野
経済、事件、調査報道など