第2回スポーツ界に残る男女格差 悔しさ訴えた彼女は急逝した
「女性理事の比率を40%に引き上げる」。18日、女性蔑視発言で辞任した森喜朗氏(83)に代わって、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長になった橋本聖子氏(56)が語った時、参院議員の嘉田由紀子さん(70)はこう思った。「今こそ、セカンドキャリアも視野に、女性アスリートや指導者の育成に本気で取り組んでほしい」
滋賀県知事だった2007年9月の出来事が忘れられない。
シニア世代のスポーツの祭典、日本スポーツマスターズの「びわこ大会」。開会式会場の大津市のホテルで、大会関係者として日本体育協会(現日本スポーツ協会)会長だった森氏とともに来訪した「憧れの女性」と、初めてあいさつを交わした。
その女性は、木原光知子(本名・美知子)さん。16歳だった1964年の東京五輪に競泳で出場、引退後はタレントとして活躍し、水泳の普及やスポーツ界における女性の地位向上にも尽力した。
その晩ホテルのバーで、2人で琵琶湖の夜景を眺めながら話し込んだ。女性が多い競技でも指導者は男性ばかりといういびつさ、実績はあっても女性が競技団体などでなかなか一人前扱いされない悔しさ――。そんな話が出て、政界と同じくらい根強く男女格差が残るスポーツ界を変えていきたい、と嘉田さんは思ったという。その1カ月後、木原さんは急逝した。
ジェンダーをめぐる状況は何が変わり、何が変わらずにきたのでしょうか。50年前の新聞と今とを行き来しながら考える連載です。
50年前の3月28日の朝日…
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