遊水地候補に人吉・大柿地区 国が住民説明会

村上伸一
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 昨年7月の豪雨災害を受けて国と熊本県などがまとめた「球磨川水系緊急治水対策プロジェクト」の一環で、洪水時に田んぼなどで川の水をためて氾濫(はんらん)を軽減する遊水地の整備について、国が人吉市の大柿地区を候補地に想定していることが明らかになった。

 国土交通省九州地方整備局の八代河川国道事務所が先月27日、人吉市中神町大柿の約50世帯(約70人)を対象に地元説明会をした。場所を特定して地元への働きかけをしたのは初めてという。遊水地には、洪水時だけ水を貯留し、平常時は農地として利用できる「地役権補償方式」と、国が用地買収をして地盤を掘り下げ、より多くの水を貯留できる「用地買収(掘り込み)方式」の2種類があるなどの説明があった。

 大柿地区は、球磨川の堤防が決壊してほぼ全域が水没するなど、甚大な被害を受けた。いったんは集団移転の話も持ち上がった。住民は地区外の仮設住宅などに移り、現地では空き家が目立つが、一部に再建の動きもあるという。

 地元説明会の開催に協力した人吉市によると、住民39人が参加し、遊水地整備のため移転が必要になった場合の移転先や補償などの質問が出た。整備される場合も数年はかかると見られている。八代河川国道事務所の森康成・副所長は取材に、「早く計画を示してほしいとの発言もあった。治水対策のとっかかりとして、測量調査に同意していただき、住民のみなさんと一緒に考えたい」と話した。

 地元説明会は4日に大柿地区の対岸の中神地区でもある。(村上伸一)

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