ガチャガチャ活況 「フチ子」が切り開いた大人への道
ガチャガチャ(カプセルトイ)が盛り上がっている。大型専門ショップには多種多様な商品が並ぶ。動物の精巧なフィギュア、缶詰のパッケージの指輪に、ノートの表紙を縮小したポーチ、アニメのキーホルダー……。自動販売機に硬貨を入れて右にハンドルを回すと、転がり出る。
知人と訪れた会社員女性(29)は「何が出るか分からない。そこに、夢がある」。一度に6千円使ったことがあるという会社員女性(48)は「ガチャガチャでしか手に入らないものがある」と魅力を話す。
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50年以上も前に生まれたガチャガチャは駄菓子屋などの軒先にあり、主に子ども向けだった。だが、近年は多くのメーカーが誕生し、大人向け商品が急増した。
その道を切り開いたのは、実は大手ではない。従業員15人、売上高15億円ほどのメーカー、キタンクラブだ。
主宰の古屋大貴さん(45)が起業したのは15年前、30歳のときだった。もともとユージン(現タカラトミーアーツ)で、ガチャガチャの営業や企画などに携わっていた。小規模で自由な風土だった会社は次第に成長し、株式上場も果たした。だが、「企画のスタートからゴールまでが遠くなった。会社員というジレンマがあった」。それを解消するため、独立した。
当初から大人向けをねらっていた。少子化が進むのに、お金がある大人向けの商品が少ないと感じていたからだ。「自分自身、子どものときに回したかったけどできなかった気持ちを抱いたまま、大人になった。いいものさえあれば売れると思った」
そして2012年、マンガ家のタナカカツキさんと組み、「コップのフチ子」を売り出した。笑顔でも怒ってもいないフィギュアをコップのフチにかける斬新なアイデア。若い女性を中心に売れ、フチに置いた写真がSNSで発信された。「携帯コミュニケーションの走りだった。みるみるうちに爆発した」。シリーズを重ね、2千万個以上が売れた。
企画担当は6人ほどで、毎月5種類ほどの新作を出す。最近も、ネットで話題になった画像を立体化した「座る変な猫」、おにぎり型ケースに具の指輪が入った「おにぎりん具」などの話題作を打ち出した。
「ガチャガチャは出オチ」と…
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