入管法改正案「改善見通せない…」 当事者に期待と不安
出入国在留管理庁が検討してきた出入国管理法の改正案が19日、閣議決定された。強制退去処分を受けた外国人の施設収容が長期化している問題の解消が狙いとされるが、支援団体からは「改善は見通せない」との声があがる。それぞれ事情を抱える当事者たちはどう受け止めているのか。
トルコ国籍を持つクルド人の男性(41)は、一家5人で埼玉県川口市に住んでいる。これまでに3回、難民申請したが認められず、妻(39)と小、中、高校生の子どもたちの家族全員に退去強制命令が出ている。
男性は少数民族であるクルド人の権利拡大を訴える政治活動に関わっており、トルコで一緒に活動していた人は逮捕されたり、取り調べを受けたりしているという。「国に帰れば刑務所行き」と表情を曇らせる。
日本での生活は18年目になる。2004年に観光ビザで来日し、2年後に妻と、当時1歳だった長男を呼び寄せた。日本で生まれた次男と三男は無国籍で、日本語しか話せない。今は一家全員が「仮放免」の状態で、働くことも、国民健康保険に入ることもできない。「未来を考えると不安しかない。子どもたちをどうやって育てていけばいいのか」と力なく話す。
男性は現在4回目の難民申請中だが、改正案では3回目以降は申請中でも強制送還される可能性が出てくる。送還に応じなければ刑事罰を科されるおそれもある。
故郷帰れない「それが難民」
難民申請者の強制送還を「あってはならないと思う」と力を込めるのは、イラン出身のモラディさん(55)。自身は3回目の申請後に裁判を経て難民認定を受けた。今は埼玉の古紙リサイクル会社の社員として働き、同郷の妻と暮らしている。来日から13年。長い道のりだった。
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