馬毛島問題「本土の国民も我がことに」 池澤夏樹さん

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奥村智司
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 鹿児島県種子島にある西之表市で31日、市長選が投開票される。沖合に浮かぶ無人島の馬毛島への米軍訓練移転が争点だが、賛否は割れている。作家の池澤夏樹さん(75)は、馬毛島を米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の移設候補地とする「私案」を長く唱えてきた。普天間の危険性が続く一方、米軍に関する別の移転計画で種子島の住民が揺れる現状について思いを聞いた。

 普天間飛行場を巡っては、米兵による少女暴行事件を機に1996年、「5~7年以内」の返還で日米が合意したが、実現していない。移転先とされた名護市辺野古で海岸の埋め立て工事が進むが、沖縄県民の反対の声は根強く、軟弱地盤という新たな問題も見つかった。

 この問題に絡み、池澤さんは当初から馬毛島に言及してきた。94年に沖縄本島に移住。米軍施設の集中と基地被害を目の当たりにした問題意識から98年1月、週刊朝日の連載で、沖縄県内に代わる暫定的な移設先として馬毛島を挙げた。有人の種子島から約12キロ離れ、地形が平らで、一企業が土地の大半を所有しており買収が容易、などを理由とした。

 「沖縄への基地集中を解消すべきだと多くの国民が思っている。だが、総論賛成・各論反対で引き取り手はなく、政治家もイニシアチブを取らない。馬毛島が『適地』と考えただけでなく、国内のそんな状況を挑発するために発言した」

 先月、馬毛島を挙げた意図を問うと、そう振り返った。池澤さんは折に触れて馬毛島への移設を唱え、2019年の朝日新聞への寄稿では「こんないい物件は他にありません」と書くなど「挑発」の度合いを強め、辺野古への移設に反対している。背景には、本土がこの問題を「解決済み」として関心を失いつつあることへの危機感がある。

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