地下鉄・西鉄の直通化は困難か 赤字年2.6億円と試算

神野勇人
[PR]

 福岡市営地下鉄箱崎線(中洲川端―貝塚、4・7キロ)と西鉄貝塚線(貝塚―西鉄新宮、11キロ)の直通運転構想で、乗り入れを実施した場合、整備事業の収支は年間で計約2億6千万円の赤字になることが、市の試算でわかった。赤字は市交通局と西鉄で負担する必要があり、現行案の実現は困難という。

 両線は貝塚駅で折り返し運転をしており、改札を通っての乗り換えが必要。市と西鉄は1997年に直通化へ向け合意し、3両編成での乗り入れなどを検討してきた。2018年に作成した現行案では、西鉄貝塚線は現行の2両で運行し、貝塚駅で地下鉄の4両と連結させる計画となっている。

 市は、貝塚駅の改修や連結用車両の整備などの初期投資に約155億円が必要と試算。一方、連結作業に時間がかかり、直通化による時間短縮効果は1・3分程度にとどまる。このため、費用対効果は、国の補助を受けるために必要な収支の均衡「1」を大きく下回る「0・42」となる。

 市は、現状では「国の補助採択の基準を満たすのは困難」と総括。西鉄からは「コロナ禍に伴う経営状況から、新たな投資は現段階では困難」との意向も示されたという。市は、将来的な直通化を視野に入れた検討は継続するとしている。

空港線・七隈線の乗り継ぎ制度廃止へ

 福岡市は、地下鉄空港線・天神駅と七隈線・天神南駅との間で実施している改札外での乗り継ぎ料金制度を、七隈線が博多駅まで延伸される2022年度以降は廃止する方向で検討している。廃止後は、原則として初乗り料金が必要となるとみられる。

 延伸後は博多駅の改札内でも空港線と七隈線の乗り継ぎが可能となり、博多経由と天神経由の2経路が生まれる。市は当初、路線をまたぐ場合はどちらを経由しても最短経路での運賃を請求する方針だった。

 しかし、国から「乗車距離に応じた運賃」という原則と矛盾するケースが生じると指摘され、乗り継ぎ料金の適用は博多駅に限定することにしたという。

 天神での乗り継ぎができなくなることで乗車距離が伸び、支払う運賃が高くなる場合もある。市は天神―天神南間での乗り継ぎのみを引き続き認める定期券の発行なども検討している。(神野勇人)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら