政府のコロナ対策はなぜ遅れたのか 経済学者は考える

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コラム「経済季評」 経済学者・竹内幹さん

 先週末、約53万人が志願した大学入学共通テストが全国681カ所の試験会場で行われた。寒くて換気もしづらく、密閉空間となった教室にたくさんの受験生が密集した。

 新型コロナウイルス感染症が心配なところだが、大学入試センターは「試験場入場時におけるサーモグラフィーなどによる受験者の検温を行わないこと」と各会場に通知していた。検温が受験者に「無用の不安感や動揺を与えるおそれ」があるからだという。しかし、発熱症状に対処するキャパシティーがないので、問題自体をなかったことにして切り抜けたようにも見える。

たけうち・かん 1974年生まれ。一橋大学准教授。研究テーマは実験経済学、行動経済学

 大学共通テストを予定通り実施することで感染が加速する可能性はある。しかし、テストを延期すれば様々な混乱が発生する。両者をてんびんにかけて、それでも前者のほうが損害は小さいと見なし、テスト実施のリスクをとったと解釈するほかない。

 経済実験で人のリスク回避度…

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