若手の登竜門・ライダー役で山梨から世界へ 岡宏明さん
俳優として本格的に活動を始めて2年目の2020年4月、岡宏明(22)に仮面ライダーのオーディションの話が舞い込んだ。
幼いころから、それぞれに個性と正義がある仮面ライダーが大好きだった。人一倍、思い入れは強い。監督らに熱意をどう伝えるか。懸命に考えた。
山梨県笛吹市で生まれ育ち、中学時代は陸上砲丸投げやラグビーに打ち込んだ。芸能界にあこがれはあっても、めざしていたわけではなかった。
歌や楽器に夢中だった県立日川高校2年の冬、幼なじみと遊びに行った東京都内で、現在の所属事務所にスカウトされた。「チャンスがあるなら」と思い切って挑戦することを決めた。
明治大学への進学を機に上京。「しっかりとした演技力を身につけたい」と1年間、劇団扉座に所属し、朝から晩まで稽古に明け暮れた。地道な積み重ねがオーディションを引き寄せた。
歴史あるシリーズ、作り手の思いの強さ
例年、数千人が受けると言われる仮面ライダーのオーディション。監督との面接や演技披露などが繰り返された。6月、念願の合格の知らせが届いた。素直にうれしかったのと同時に、「こんどは僕が、子どもたちのあこがれの世界をつくる」と気持ちが高ぶった。
出演が決まったのは、昨年9月から放送が始まった「仮面ライダーセイバー」(テレビ朝日系)。仮面ライダーシリーズは1971年に第1作が始まった。昭和、平成、令和と受け継がれ、今年で半世紀を迎えた。
射止めた役は、世界の平和を守る組織のメカニックをしながら、聖なる刃を手に戦う大秦寺(だいしんじ)哲雄こと仮面ライダースラッシュだ。
撮影は昨年7月に始まり、新型コロナウイルスの感染防止に注意を払いながら進められた。アクションシーンがあるロケ現場には、「密」が懸念され、ロケ場所の確保に苦労していると聞いた。
「仮面ライダーの歴史をつくってきた人たちの、いい作品をつくりたいという気持ちの強さはすごい」
困難を一つひとつ乗り越え、作品を完成させていくスタッフへの感謝は日に日に大きくなっている。(敬称略)
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