国産ワクチンはなぜ出遅れ? 開発を阻んだ「護送船団」

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井東礁 江口英佑 真海喬生
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 日本政府は2月下旬にも米ファイザー製の新型コロナワクチンの接種を始める方針だ。ワクチン開発では、米モデルナや英アストラゼネカなど海外勢が先行する一方で、国内勢は遅れている。政府は開発などに補助金を出して後押しするが、いまだ実用化のめどは立っていない。

 昨年12月上旬、塩野義製薬のワクチン製造を受託した「ユニジェン」の岐阜工場(池田町)。薄暗い屋内の隅に簡易的な照明が置かれ、真新しい金属製のタンクを照らす。「せーの」。ヘルメット姿の作業員20人ほどがしゃがみ込み、配管の搬入作業を進めていた。

 塩野義は年末までに3千万人分の生産体制を構築する方針で、製造を受け持つユニジェン岐阜工場の整備に昨年8月着手した。今春の完成を目指し、スタッフを増員して急ピッチで作業を進めている。

 塩野義の広報担当者は「通常は、開発のめどがたつ臨床試験(治験)の最終段階あたりで生産体制の規模や構築の検討を始める。開発と並行して生産の整備を進めるのは異例だ」と話す。昨年12月、塩野義は200人以上を対象に治験を始めた。

 国内で先頭を走るのは、創薬ベンチャーのアンジェスだ。大阪大などと共同で開発。3月までに国内の治験で500人に接種する計画だ。その後海外を視野に数万人規模の最終治験を予定する。

 国内の製薬会社で治験に入ったのは、この2社のみ。どちらも実用化の時期は公表していない。

 ほかに、第一三共東京大学と共同開発している。動物試験で効果を確認し、最短で3月に治験開始の見込み。化学及血清療法研究所からワクチン事業などを引き継いだKMバイオロジクスは1月、IDファーマは早くて3月の治験入りを目指している。

リスクもコストも高いワクチン、コロナ前から産業停滞

 国は閣議決定された第3次補正予算案も含め、研究開発に600億円、生産体制整備に2577億円と、少なくとも計3千億円の支援を決めた。

 海外勢と国内勢でここまで差…

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