「サオリ」は農家の女神様 警戒された新参者の挑戦

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長田寿夫
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 豊作の水田の神様「サ」を迎える行事を「サオリ」という。休耕地の再生を続ける群馬県太田市高林北町の中島沙織さん(38)は、悩める農家の女神様かもしれない。

 東京都八王子市の出身。結婚を機に21歳で夫の実家がある太田に移り住んだ。とはいえ、農家ではなかった。農業生産法人勤めを経て野菜作りにのめりこみ、30歳で独立。70軒の地主から100筆超の休耕地16ヘクタールを借り、コメと野菜を作る市内屈指の複合農家だ。畑ではスタッフ6人とともにケールやネギ、ズッキーニなどを育てる。

 初めからうまくいったわけではない。農家は東京からの新参者を警戒した。農事組合に加入を希望しても「新規はお断り」と門前払い。地域の若手農業者の助けを借りて1軒ずつ農家を回り頭を下げると、ようやく休耕地を貸してくれた。

 農地は1年耕さないと、たちまち地力が落ちて痩せてしまう。だが、高齢化した農家は手が回らない。隣の休耕地が見違えるように再生されていくのを見て、「うちのも頼む」と農家から休耕地が次々と持ち込まれるようになった。

祖父の言葉が道しるべ

 農業の傍ら、社会活動に奔走する。自然から学ぶ「わくわく体験子供塾」を主宰したり、地域資源を生かした町おこし会社を仲間と立ち上げたり。2020年7月には新たにJAの推薦で市農業委員も引き受け、多忙を極める。

 今春にはとれたて野菜やコメ、主婦らの手作り総菜を並べた直売店を開く。すでにコンビニエンスストア跡地を確保済みだ。女性が活躍する場をつくりたいのだという。

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