第3回「米国境に人民解放軍」? 日本に直輸入されるQアノン

有料記事陰謀論 溶けゆくファクト

伊藤大地
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 「リアルの友人、知り合いは誰も関心すら持たず話を聞いてくれない」「鬱陶(うっとう)しがられてLINEも既読がつかなくなり」「諦めた…」

 1月16日、あるツイッターのユーザーがこう投稿した。すると、20日までに9700件を超える「いいね」と、1300件を超えるリツイートが集まった。

 ツイートしたのは、日本に住むとみられるトランプ前米大統領の熱烈な支持者だ。アイコンもトランプ氏の写真で、「バイデン氏が逮捕される」「(2001年の米同時多発テロ)9.11は自作自演」といった陰謀論を連日のように投稿してきた。孤独を訴えたツイートには、「家族に話したが、信じてもらえない」「友人に送ったけど返信無しです」と共感する返信が集まった。

 1月6日に起きた米連邦議会議事堂の襲撃事件には、トランプ氏を支持する「QAnon(Qアノン)」のメンバーが多数関与したとされる。Qアノンは、「Q」を名乗る匿名の人物の投稿を信じる人がつくる陰謀論集団だ。

 彼らの語る陰謀論は荒唐無稽だ。米民主党の大物政治家や共産主義者がひそかに運営する「影の政府(ディープステート)」では、小児性愛を目的とした人身売買や悪魔崇拝が蔓延(まんえん)しており、トランプ氏がそうした状況から世界を救ってくれる――。そんな筋書きを世界に広めてきたQアノンは、いまや連邦議会や州議会にも賛同する議員がいるほど、米国内で支持を伸ばしている。議事堂襲撃事件でバファローのかぶり物をして議事堂内に乗り込んだジェイク・アンジェリ容疑者も、著名なQアノン信奉者だったことがわかっている。

 その影響力は、日本語のインターネット空間にも及んでいる。

米大統領選をめぐり、米国でトランプ前大統領の支持者に広がった陰謀論は、もはや日本も無関係ではありません。シリーズ3回目の今回はその浸透ぶりを考察します。

 Qアノンの影響を受け、不正…

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