鬼滅、コロナだからヒット 怪異学で語る鬼・感染症・刀

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聞き手・佐々木洋輔
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 昨秋の公開以降、歴史的なヒットとなった映画鬼滅の刃」。東アジア怪異学会会員の榎村寛之さん(61)は、「『鬼滅の刃』は、コロナ禍だからこそ人々の心をつかんだ」と、分析する。感染症と鬼。共通するのは我々の前に潜む、見えない敵。我々はなぜ「鬼滅の刃」に心躍るか。作品の魅力について、日本史と怪異学の専門家に聞いた。

 漫画「鬼滅の刃」は、ある朝、主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)が家に帰ると母ときょうだいが鬼に殺されている場面から始まります。

 実に理不尽です。殺される理由は何もありません。ある夜、家族の前に鬼が現れて無慈悲に殺害していく。ただそれだけです。

 日本では奈良時代平城京が整備され、初めて人口10万人都市が生まれました。いわゆる「密」の始まりです。人口が密集すると、何が起きたか。感染症の大流行が発生します。

 天平9(737)年の天然痘大流行では、国政を担っていた「藤原四兄弟」が全員亡くなり、朝廷が機能不全に陥るほどでした。

 ある朝、起きたら平城京の道ばたに大量の死体が転がっている。原因は不明。死者に身分の差はなく、貴族でも死ぬ。当時はもちろん感染症の知識はありません。なぜ、人がこれほど無差別に大量に死ぬのか。人々は考えます。

 鬼が来たのだと。

記事後半では、「鬼滅の刃」の設定の細かさや日本刀の役割など、怪異学者の視点で映画が大ヒットした秘密を探ります。一部、映画の内容に触れます。未見の方はご注意ください。

 このように、古来より日本で…

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