タワー信仰が奪った個性 隈研吾が見据える、東京の未来

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聞き手・柏木友紀
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 1400万人を抱える巨大都市・東京。常に変化を続け、今年も大規模開発が相次ぐ。東京はどこへ向かうのか。コロナ禍で都市のあり方も変容を迫られるなか、国立競技場や品川の開発プロジェクトをはじめ、国内外で多くの都市建築に携わる隈研吾さん(66)に聞いた。(聞き手・柏木友紀)

 ――東京の歩みをどう見ていますか。

 東京を含め20世紀の都市は、モータリゼーションによって多様性が奪われたと言っていい。特に東京は多様性の強いヒューマンな街でした。明治までは歩きを中心に街全体が編成され、道も狭かった。

 戦後は自動車が主役になり、世界のスタンダードに追いつかなければと、過剰適応をした。いわばモータリゼーション・コンプレックスが都市を変えてしまった。日本橋のように高速道路を街のど真ん中に持ってくるなど、街区が道路によって完全に途切れてしまいました。もう一度、歩ける街に戻すことが必要になっています。

くま・けんご 1954年生まれ。90年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶応義塾大教授、東京大教授を経て、現在、東京大特別教授・名誉教授。国内外で多数のプロジェクトが進行中。国立競技場、高輪ゲートウェイ駅の設計にも携わった。主な著書に『点・線・面』(岩波書店)、『ひとの住処』(新潮新書)、『負ける建築』(岩波書店)、『自然な建築』、『小さな建築』(岩波新書)、他多数。

 ――手がけている品川の開発コンセプトは。

 目指すのは、「ウォーカブル…

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