五木村長が流水型ダムの容認を明言 村議から批判
【熊本】蒲島郁夫知事が川辺川に治水専用の流水型(穴あき)ダム建設を容認する方針を表明したことについて、一部が水没予定地となる五木村の木下丈二村長は10日の村議会一般質問で「知事の判断を容認する」と初めて明言した。議員からは批判が相次いだ。
村長は知事が方針を表明した先月19日に「真摯(しんし)に受け止める。知事表明の『緑の流域治水』が実現するように、流域自治体としての役割を果たしていく」などとコメント。今回はさらに踏み込んだ。村長は記者団に対し「容認した上で、今後の村の振興と整備に、国や県に責任を持って取り組んでもらう」と語った。
一般質問では定数8の議員のうち4人が川辺川のダム問題を取り上げた。
藤本新一議員は環境にやさしいとされる流水型ダムでもヘドロがたまり、「日本一の清流」の環境を汚す懸念を指摘。村長は「私どもにも心配はある。ヘドロがたまる状態の施設では納得できないことを国や県に申し上げていく」と述べた。本会議後の取材に「ヘドロ化が万が一起きるような場合でも認めない」と配慮する意向を明言した。
藤本議員や早田吉臣議員、岡本精二議員、西村久徳議員は、村長が村民からの意見聴取や議会との協議をしないまま、知事の方針を容認したと批判した。
村長は「当初の計画の多目的ダムとは異なり、新たな流水型ダムの(規模やイメージを表す)シミュレーションが国、県からまだ示されておらず、水没する場所や地形など住民や議会に考えてもらう材料がない」として、シミュレーションが示されてから住民や議会と協議する意向を示した。
五木村は1966年に計画が発表された川辺川ダムの水没予定地になることに反対したが、国や県から「下流域市町村の安全のため」と要請され、30年後に正式同意。住民が移転し、人口減少に拍車をかけた。
ダム建設を前提とした村づくりに取り組んだが、2008年に蒲島知事がダム計画の「白紙撤回」を表明。12年を経て豪雨災害後に新たなダム建設の構想が持ち上がり、村民の間では「またほんろうされるのか」との声も上がる…
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら