河内弁で育った私 荒いだけじゃない、響きに潜む深さ

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土井恵里奈
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 やぃワレ! あほんだら!――。NHKの朝の連続テレビ小説「おちょやん」で、大阪弁が炸裂(さくれつ)している。なぜこんなに迫力があるのか。大阪の河内に生まれ育った記者が考えた。

       ◇

 「河内弁は荒い」「大阪の言葉は品がない」とよく言われる。でも、大阪出身の自分からすると、大人になるまではそれが普通だった。生まれたのは東大阪、育ったのは南河内郡。「いてこます」「何さらしてんねん」――。学校の級友も先生もケンカしたり怒ったりする時は巻き舌だったので、自分も言い返せるように風呂で練習した。祭りの日、だんじりに乗りながら河内弁で漫才をする大人を見るのがちょっと好きだった。

 近所に限らない。1990年代、きれいとはいえなかった駅のホームでは、くせの強い言葉で新喜劇みたいな会話をする人がいた。親に連れられて行った天王寺動物園では、周辺の路上で河内弁のおっちゃんたちが青空カラオケをしていた。動物の鳴き声を上回る騒々しさ。珍獣より興味深かった。高校時代、近鉄電車の長野線に乗っていると、ミニスカートをはいた化粧の濃いお年寄りが訳の分からない大阪弁で人形相手に独り言をつぶやくのによく出くわした。高校があった街は柄が悪くて評判だったので、そんな人もいるんだろうくらいに思っていた。教科書や辞書には載っていない、わちゃわちゃした言葉は、何でもありのごちゃごちゃした駅や街とどこか似ていた。

腹立った時、気付けば連呼…

 就職で大阪を離れ、仕事では…

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