焼け焦げた車、中から無傷の名刺 遺品を渡した母の思い

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玉木祥子
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 山梨県大月市の中央自動車道笹子トンネルで2012年、天井板が崩落し、9人が死亡した事故は12月2日で発生から8年。犠牲者の遺品が、トンネルを管理する中日本高速道路(本社・名古屋市)の社員研修施設に展示されることが決まった。遺族は事故と向き合い続ける覚悟を求めている。

 かばん、ポーチ、腕時計、鍵、名刺入れ、ネックレス……。11月4日、亡くなった石川友梨さん(当時28)の父信一さん(71)、母佳子さん(62)は、神奈川県横須賀市の自宅で中日本高速社員の前に一つひとつ遺品を並べた。

 「かばんの中にあった資料の日にち、腕時計の時間、名刺。友梨が精いっぱいの思いを遺品に託したのだと思う」

 佳子さんがそう語りかけると、信一さんは「一生私たちが保存したい思いもあるが、有意義に活用し、二度と人命を奪わないでほしい」と伝えた。中日本高速社員は「風化させぬよう、きちんとお預かりさせていただきます」と答えた。

 遺品は事故当日、友梨さんが持っていたもの。かばんとポーチは佳子さんがプレゼントした。友梨さんら5人が乗ったワゴン車は天井板の下敷きとなり燃えたため、焼け焦げている。

 佳子さんは迷った末、家などの鍵は手元に残すことにした。

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 「友梨がいつも持ち歩いてい…

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