熊本のSL、直方で「延命」 NPOが引き取る

遠山武
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 熊本県高森町で展示されていた蒸気機関車(SL)「C12形241号」が、福岡県直方市のNPO法人「汽車倶楽部」(江口一紀理事長)に無償譲渡され、倶楽部の敷地に移設された。町側が撤去を検討していることを知った倶楽部側が「延命させたい」と引き取った。

 1940(昭和15)年製のC12は旧国鉄時代に高森線を走り、74年に引退後は現在の南阿蘇鉄道・高森駅前に展示されていた。ボイラー部や動輪のある台枠部分などに6分割して7日、大型トレーラーなど計3台で運び出し、倶楽部に8日着いた。老朽化が進んでおり、倶楽部の会員が今後2年かけて修復し、組み立て直す予定だ。

 高森町によると、駅周辺の整備計画に伴いC12の町内移設か解体撤去かを検討していた。引き取りの打診を受け、倶楽部側が移設費を負担することで無償譲渡を決めた。

 江口理事長によると、移設費は数百万円で、「C12を救いたい」と提案したところ、何人もの会員が寄付に応じ、引き取りが実現したという。

 倶楽部が所有するSLはこれで3両目となる。行橋市から2017年に譲渡された「D51形10号」は来年の公開を目指して修復中だ。会員らが月に1度集まって取り組む作業は今後、C12と同時並行で進める。

 C12はこれまで、高森町の老人クラブが手入れをしてきたという。今吉輝子・町政策推進課長は「地元の宝物でファンもたくさんいた。これを機に直方との交流につながれば」と地域間の交流に期待を寄せている。(遠山武)

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