脱プラを商機に エコだけじゃない付加価値

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細川卓
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 国連は2030年までに、貧困の撲滅や気候変動対策などの17分野の持続可能な開発目標(SDGs)を掲げる。中でもプラスチックごみ問題は、私たちが手軽に取り組める課題の一つだ。7月から始まったレジ袋の有料化も、プラスチックを使い捨てる社会からの脱却を目指している。

 国や自治体だけでなく、私たちを取り巻く環境への危機感をビジネスチャンスと捉え、企業も知恵を絞っている。おしゃれや楽しみ、「映(ば)え」などの付加価値を付けながらプラスチックごみ問題と向き合い、持続可能な社会を目指す取り組みが広がっている。

 国内で廃棄されるビニール傘は、年間約8千万本。リサイクル品の企画開発を手がけるモンドデザイン(東京都港区)は4月、新ブランド「PLASTICITY(プラスティシティ)」を立ち上げ、廃棄されたビニール傘を素材としたバッグの販売を開始した。分解したビニールを4層重ねて圧着することで強度を増している。同社の堀池洋平代表取締役は「廃材を利用するだけが売りではない。使ってみたいと思ってもらえるようなデザインや機能にこだわりたい」。

 廃車からエアバッグとシートベルトを回収し、バッグを製作するのが「yoccatta(ヨカッタ) TOKYO」(東京都渋谷区)。車の部品の9割はリサイクルされるが、エアバッグの生地などはリサイクルが難しく、ほとんどが埋め立てか焼却処分されている。同社では自動車解体工場から入手したエアバッグとシートベルトをデニム工場で洗浄し、手作業で裁断、縫製している。

 高速道路で見かける料金改定や工事のお知らせなどの横断幕。阪神高速道路株式会社(大阪市北区)では年間約300枚の横断幕を製作しているが、中には1カ月足らずで掲示期間を終え、廃棄されるものもある。そんな横断幕を、奈良県桜井市の企業に委託して、大きな文字や鮮やかな色をそのまま残したバッグに縫製し、販売する。具体的な地名入りの方が人気が高いという。

 合成樹脂メーカーの萩原工業(岡山県倉敷市)は7月から、ブルーシート生産の端材で作ったバッグの製造、販売を始めた。2016年の熊本地震で、被災地で使われたブルーシートでバッグなどを作り、収益を復興資金にする活動が生まれた。西日本豪雨で被害を受けた岡山でも同様の活動があり、同社も参加した。バッグの売り上げの30%は、災害復興や防災・減災の基金に充てられる。

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 プラスチック製品を開発する…

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