昨年度の経常黒字、過去最大25兆円 「デジタル赤字」は拡大

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岡林佐和

 財務省が10日発表した2023年度の国際収支(速報)は、貿易や投資による海外とのお金の出入りを示す経常収支が、25兆3390億円の黒字で過去最大となった。ただ貿易収支は3年連続の赤字で、海外のIT企業に支払う「デジタル赤字」も拡大。黒字の主役は投資のもうけで、メイド・イン・ジャパンの製品が世界を席巻したころとは様変わりしている。

 貿易収支は3兆5725億円の赤字で、前年度(17兆7869億円の赤字)より大幅に縮んだ。自動車などモノの輸出が好調で、初めて100兆円の大台に乗った。さらに資源高が一服して輸入が減ったため収支は大幅に好転したが、赤字基調からは抜け出せていない。

 国内経済は長らく、自動車や電気製品などの輸出が支え、00年代までは貿易が経常黒字を支えてきた。だが企業の海外進出が進み、競争力も低下しているからだ。しかも近年は、動画配信やクラウドなど海外のIT企業が手がけるサービスの利用が急増。「デジタル赤字」は過去最大の約5.4兆円となり、14年度と比べて2.5倍に膨らんだ。

 一方、訪日外国人客が大幅に増えたことで、旅行収支が4兆2295億円(前年度比3.6倍)の黒字だった。ただデジタル赤字を含めたサービス収支全体では2兆4504億円の赤字だった。

 かわって経常収支の黒字を支…

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