法制審、少年法改正へ答申 18・19歳の逆送拡大など

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伊藤和也
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 少年法などの見直しを検討してきた法制審議会は29日、法改正を上川陽子法相に答申した。20歳未満の適用年齢を引き下げないまま、18、19歳に対する措置を大人に近づける。刑事裁判にかける対象犯罪を拡大して厳罰化を図り、起訴後から実名などの報道を可能にすることなどが盛り込まれた。法務省は答申をもとに改正案をまとめ、来年の通常国会に提出する方針。

 答申は最大の焦点だった適用年齢の引き下げについて、「国民意識や社会通念」を踏まえる必要があるとし、「今後の立法プロセスでの検討に委ねる」と判断を見送った。一方、18、19歳を「十分に成熟しておらず、可塑(かそ)性(変わりうる可能性)を有する存在」とし、前後の世代と「異なる取り扱いをすべきだ」と提言した。

 事件を起こした全員をいったん家裁に送致し、生い立ちや事件の背景を調べる仕組みは維持したうえで、家裁から検察官に原則送致(逆送)する対象を、18、19歳に限り「法定刑の下限が懲役か禁錮1年以上」の罪に拡大し、新たに強盗や強制性交、放火罪などを含めた。現行法では、16歳以上が故意の行為で人を死亡させた罪に限られている。

 逆送には至らない場合も、18、19歳は罪に見合った処分にしなければならないと明記。少年であることを重視する現行法から転換することになる。同様に、交友関係などから将来罪を犯す恐れのある「虞犯(ぐはん)」を家裁送致の対象から除外。服役中に立ち直る可能性を踏まえて量刑に幅を持たせている不定期刑の対象からも外した。

 「推知報道」の禁止規定の見直しも答申の柱だ。少年法は61条で、少年の実名や写真など本人を推定できるような情報の報道を禁じているが、18、19歳については、家裁での非公開の手続きを離れ正式な刑事裁判が提起された段階で可能とした。この規定の改正は1948年の法制定以来初めてで、更生や社会復帰を妨げる恐れも指摘される。

推知報道、当初は議論対象外

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 3年半にわたる議論の末、今…

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