新大久保駅で息子失った韓国の母、画面越しに奨学生激励

編集委員・牧野愛博
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 2001年にJR新大久保駅新宿区)で線路に落ちた男性を助けようとして亡くなった韓国人留学生の李秀賢(イスヒョン)さん(当時26)を顕彰し、アジア諸国からの留学生を支援する奨学金の授与式が14日、都内で行われた。毎年欠かさず訪日してきた母親の辛潤賛(シンユンチャン)さん(70)は、新型コロナウイルス問題のため、オンラインで参加した。

 授与は今回で19回目。今年は10の国・地域の50人に贈られた。奨学生の総数は、初回から合計すると998人。来年の20周年にはのべ千人を突破する見通しになった。

 李さんの両親は事故後、毎年1月の命日と、10月の奨学金授与式には必ず、夫婦そろって来日してきたが、父の李盛大(イソンデ)さんは昨年3月、病気のため79歳で亡くなった。昨年からは辛さんが1人で訪日を続けていたが、今回はオンラインでの参加を余儀なくされた。

 新型コロナ問題のため、各地で続けられていた、日韓の交流に尽力する両親の活動を記録した映画「かけはし」の自主上映も2月末から中断している。

 辛さんは韓国・釜山からオンラインで「今年は本当に大変な年でしたね。私の好きな言葉は、若い頃の苦労は買ってでもせよ、です。今は大変だと思う全ての事も、広い世界に向かう契機にも美しい思い出にもなる」と語り、奨学生を励ました。奨学金を運営するLSHアジア奨学会の鹿取克章会長は「困難な時代には、他者への思いやりと社会的な寛容が求められる」と語った。(編集委員・牧野愛博)

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