日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかった問題で、「安全保障関連法に反対する学者の会」は14日、東京都内で記者会見し、「6人が任命見送りになった経緯と理由を明らかにし、すみやかに任命すること」を求める抗議声明を発表した。
学者の会は2015年制定の安保法制に反対するため結成され、学術会議会員の経験者も多い。今回、任命されなかった6人のうち、宇野重規・東京大教授は同会の呼びかけ人、残る5人はいずれも賛同人に名を連ねている。学者の会のまとめでは、これまでに学会延べ370団体、大学や大学関係者ら17団体が声明を発表している。
声明では「日本学術会議法は政府からの独立性をうたい、首相の任命権を制約している」と指摘。任命拒否は「学術会議の独立性と学問の自由を侵害する許しがたい行為」と非難した。「学問的研究と業績評価による会員の選考に政治が介入することはあってはならず、学問への冒瀆(ぼうとく)行為。民主主義と立憲主義を破壊する違法行為」と断じた。
内田樹・神戸女学院大名誉教授は「学術共同体に政権が関与し、忠誠心にもとづきイエスマンを集めれば、反抗する人がいなくなり管理しやすくなる。日本の発信力を損ない、世界における評価や国力を下げる行為だ」と批判した。
小熊英二・慶応大教授も「理由を明らかにせず任命を拒否できるようにすることは、不透明な差別の温床になる。権力者であっても法に定められた手順を踏まねばならないとする『法の支配』を破る行為であり、歯止めをかけなければいけない」と懸念を示した。
ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英・京都大名誉教授も「菅首相がこんな乱暴なことをしたということは、歴史上、長く糾弾されるだろう。戦争の反省の上に作られた日本学術会議に汚点を残すものである」とのメッセージを寄せた。(編集委員・北野隆一)
「安全保障関連法に反対する学者の会」の抗議声明(全文)
菅義偉首相が日本学術会議会…
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