若いがん患者 一人じゃない AYA世代支援へ 富山

野田佑介
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 15~39歳のAYA(Adolescent and Young Adult=思春期と若い成人)世代のがん患者を支援する動きが全国で広がる中、富山県内でAYA世代の患者の会が発足した。進学、結婚、出産……。世代特有の悩みを抱える患者同士が、思いや経験を共有できる場を目指す。

 会の名称は「Colors(カラーズ)」。がんの治療経験のある富山市内の看護師、樋口麻衣子さん(35)が患者仲間に呼びかけ9月に設立した。SNSを通じて、会の存在を周知し、9月末現在、血液のがんの悪性リンパ腫白血病子宮がんなどを15~39歳で発症した20~40代の男女17人が参加する。会員同士の食事会や、SNSなどを介した不安や悩みの共有、情報交換も行う。また将来的には、オンラインサロンやAYA世代の交流イベントも企画したいという。

 国立がん研究センターによると、AYA世代では年間約2万人ががんを発症しているという。ただ、他の世代に比べて患者数が少ない上、進学や出産、結婚といった世代特有の状況に応じた支援や相談体制が十分ではない。だが、国の「第3期がん対策推進基本計画」(2017~22年度)にAYA世代のがん対策の必要性が盛り込まれるなど、近年、その支援の動きが広がっている。

 会の代表を務める樋口さん自身も、27歳で甲状腺がんを患い、手術を経験。現在は病状は安定しているが、半年に1度は転移の有無などを調べる検査を受けている。がんとわかった当時、近くに同じような悩みを抱える人が見つからず相談ができなかったといい、「自分のような年代は他にいないのではとも考え、今後どう生きたらいいのかと不安になった」という。

 AYA世代の交流の場としては、県がん総合相談支援センター(富山市安住町)が年4回開く交流サロンがあり、樋口さんもそこで患者仲間とつながった。ただ、よりきめ細かな交流を行おうと患者の会を立ち上げたという。

 「AYA世代のがん患者が近くにいるということを知るだけでも勇気づけられる。仲間とつながることで、『自分は一人じゃない』と感じてもらえれば」と話している。

 問い合わせはColorsのホームページ(https://t-aya.net/別ウインドウで開きます)から。(野田佑介)

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 小児・AYA世代のがん患者とその家族への支援を呼びかけるイベントが17日午後2時半から、富山市安住町の県総合福祉会館(サンシップとやま)の6階である。「Colors」代表の樋口さんによるがん体験記に加え、NPO法人がんノート代表理事・岸田徹さんによる「AYA世代がん患者のリアル」と題した講演、県内の病院でがん治療に携わる医師と看護師のシンポジウムがある。要事前申し込み。問い合わせは県がん総合相談支援センター(076・432・2970)。

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