読書の秋、見た目も楽しく 書店発のおいしそうなカバー

関宏美
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 紙袋に入った焼き芋、クリームソーダやアイスキャンディー。おいしそうなものばかりだが、実はこれ、大阪市鶴見区の正和堂(せいわどう)書店がつくっているオリジナルのブックカバーとしおりだ。読書の秋、見た目も楽しいカバーとしおりでもっと本と親しんでみては。

 大阪メトロ長堀鶴見緑地線今福鶴見駅近くの鶴見通沿いにある正和堂書店は、今年で創業50年を迎えた。家族経営のこぢんまりした店だが、SNSで人気だ。インスタグラムのフォロワーは7万人を超える。

 インスタグラムを始めたのは2017年3月。毎日のようにおすすめの本を紹介するとフォロワーは増えたが、来店になかなか結びつかなかった。

 「思わず店に来たくなるものをつくろう」。創業者の孫、小西康裕さん(34)と弟の悠哉(ゆうや)さん(32)は、店独自のブックカバーとしおりの作成を思い立った。

 デザイン担当は印刷会社勤務の康裕さん。美大で学んだ経験を生かし、休日に制作作業をしている。食卓についたとき、街を歩いていた時。日常生活で思わぬ発想を得るという。

 第1号はアイスキャンディーだった。17年夏に2種類を完成させ、100セットずつ用意したが、1カ月ほどでなくなった。

 食べ物だけでなく、楽器や富士山など、これまで15種類ほどつくった。SNSでも店頭でも「かわいい」「本をますます読みたくなる」と好評だ。

 カバーとしおりを配布するようになってから、客層が広がったと、店頭に立つ悠哉さんは話す。「女性の姿が増えて、北海道から沖縄まで全国各地からお客さまが来てくれるようになりました。インドネシア・バリ島から来た人もいるんです」

 遠方で店に行くのが難しい人からのリクエストも多く、オンライン販売を検討している。

 康裕さんが今取り組んでいる作品は、食器の上に並べたくなるようなブックカバーと、スプーンやフォークに見立てたしおりの組み合わせだ。

 ブックカバー、しおりをそれぞれ単独で使っても素敵に見えるように、というのがデザインする時のこだわりだ。康裕さんは「読書がしたくなるようなきっかけを、これからもいろいろな形で発信していきたい」と意欲を燃やす。

 カバーはいずれも文庫本サイズ。同書店で本を購入すると1人1セットが無料でもらえる。(関宏美)

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