コロナはいつまで新型か 次々と出現、仲間のウイルス 

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構成・服部尚
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 新型コロナウイルスに振り回される日々が続く。コロナウイルスの中には時間を経て、風邪を引き起こすありふれたものになったと考えられているものもあるが、新型コロナはいつまで「新型」なのか。コロナウイルス研究の第一人者、東京農工大の水谷哲也教授が寄稿した。

ウイルス名と感染症名

 2019年12月に中国・武漢で最初の患者が確認されてから、もう10カ月がたちました。すべての人の予想を裏切り、いまだに世界的に感染拡大を続けています。

 私たちは今も新型コロナウイルスと呼んでいますが、違和感はありませんか? 多くの人は「違和感はない」と答えると思います。その理由は、すでに「新型」という言葉の持つ意味が失われ、「新型コロナウイルス」というひとつの言葉になってしまっているからです。

 そもそも学術論文では当初、2019―nCoV(2019 novel coronavirus)という表記でした。「2019年に出現した新しいコロナウイルス」という意味です。

 そして、国際ウイルス分類委員会によってSARS―CoV―2と命名されました。

 というのもこのウイルスは全く新しいウイルスではなく、2002年に出現したSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスの仲間だからだというのが理由です。この時点で、学術的には「新型」という要素を捨てる形になりました。

 一方、疾患名はWHO(世界保健機関)によってCOVID(コビッド)―19(Coronavirus disease 2019)と命名されました。

 実は今回の新型コロナのように、ウイルス名と感染症名が一致しないのは珍しいケースです。たとえば、SARS―CoV(ウイルス名)に対してSARS(感染症名)、Influenza virus(ウイルス名)に対してInfluenza(感染症名)というのが通例なのです。

 ところが日本では、新型コロナウイルス(ウイルス名)に対して、新型コロナウイルス感染症(感染症名)と呼ばれるのが一般的です。従って日本では「新型コロナ」が感染症名のようになっています。海外のメディアでは感染症名で呼ぶことが多いので、COVID―19やCOVIDがよくつかわれます。

コロナ出現サイクル

 このように考えると、そもそも新型コロナウイルスは当初から「新型」ではないのですが、日本ではこれからも呼び方が変わることはないでしょう。

 ここに大きな懸念があります。もし、次のコロナウイルスが出現したら、私たちは何と呼んだら良いのでしょうか。

 コロナウイルスの出現サイクルのおさらいをしてみます。

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