「おでんしゃ」発案者も苦戦 新幹線停車駅のホテルに幕

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床並浩一
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 愛知県豊橋市の豊橋駅前のビジネスホテル「豊鉄ターミナルホテル」が30日、30年余りの歴史に幕を下ろす。景気低迷の波や競合する全国チェーンの台頭にもまれながらも、新幹線停車駅周辺の草分け的存在として客をもてなしてきた。だが、新型コロナウイルスで鉄道部門などグループ全体の収益も影響を被り、事業継続の望みが断たれた。

 「立地が良く、昨年まで客室稼働率や収益を確保していた。新型コロナさえなければ……」。従業員の雇用調整で、電話応対など日中の業務を1人で切り盛りしている支配人の戸田昌裕さん(55)は嘆く。

 ホテルは、路面電車の市内線や新豊橋駅と三河田原駅(田原市)を結ぶ渥美線を運行する豊橋鉄道の全額出資子会社の運営で、1988年に開業した。豊橋駅前周辺のビジネス系ホテルとしては、旧豊橋グランドホテルの流れをくむホテルアークリッシュ豊橋や豊橋グリーンホテルから改称したアパホテル豊橋駅前に次ぐ歴史がある。地元電鉄系列ホテルとして経営は安定していた。

 バブル崩壊やリーマン・ショックの宿泊需要の減少に見舞われた際は、客室数を減らすなどコスト削減で対応してきた。

 路面電車で需要を掘り起こそうと、車内で地元産ちくわおでんを振る舞う「おでんしゃ」などの企画をヒットさせた戸田さんが親会社から取締役支配人として送り出されたのは3年前。低価格を前面に、出張客に加え訪日外国人客も当て込んだ全国チェーンホテルの進出が相次ぎ、「供給過剰」な状態から競争が激化していた。

 「顧客目線でサービス向上に…

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