未熟者にはわからぬ 武道30年、外国人教授が語る武蔵

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聞き手・太田啓之
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 高校時代にニュージーランドから来日し、剣道を学んだことがきっかけで、「武道」の世界にはまった関西大教授のアレキサンダー・ベネットさん(50)。現在も日本で修行を続けつつ、武士道を研究する。そんなベネットさんが憧れてやまないのが、「世界で最も有名なサムライ」宮本武蔵だ。修行を重ねるにつれ、ベネットさんが実感したという「武蔵の強さ」とは何か。本人に聞いてみた。

 ――昭和の初めにも小説家の直木三十五菊池寛の間で「武蔵は強かったのか」という論争が起こり、そのことが、吉川英治が『宮本武蔵』(1939)を執筆するきっかけにもなったとされています。ベネットさんは武道家として、武蔵の実力をどう評価しますか。

 「私は『五輪書』を英訳したことがありますが、この書物を書いたという一事だけで、武蔵が傑出した武道家だったことは明らかだと考えています」

武道を実践する上で重要なポイントが

 「『五輪書』は一般向けの書物ではなく、武蔵が晩年、後継の弟子たちに、自らの剣術や、大兵力を動かす際の戦術を指南するため書いた『兵法書』です。剣道を始めて間もなかった20歳代の私には、内容が抽象的に感じられ、読んでもさっぱり意味が分かりませんでした」

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 「だけど、修行を重ねてから…

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