部活の地域移行への試行錯誤 教員も兼業で報酬、業務の「見える化」

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足立朋子 杉原里美 塩入彩
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 少子化による廃部や教員の働き方改革に対応するため、国が進める公立中学校の部活動の地域移行が、「改革推進期間」の2年目に入った。先行して取り組む首都圏の自治体では、地域の課題に応じた試行錯誤が続いている。(足立朋子、杉原里美、塩入彩)

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 人口3万余りの神奈川県大磯町では今年度から、二つの町立中の週末や休日の部活動を町のスポーツクラブに委託し、指導者を派遣してもらう事業を始めた。

 注目されているのは、教員も兼業届を出すことで、民間の指導者と一緒にクラブに登録し、給与とは別に時給2千円(3時間まで)の報酬を得られるようにしたことだ。

 部活動を学校外の資源で支えるという地域移行の流れに逆行するようだが、こうなったのには理由がある。

聞こえてきた生徒や保護者の「負担感」

 同町では2022年度から国の実践研究に手を挙げ、ソフトテニス部とサッカー部は2校での合同練習とし、小学生や地域の指導者も加わるなどの外部化を試みてきた。しかし、生徒や保護者から聞こえてきたのは、他校のグラウンドなど、校外への移動に対する強い負担感。「元の学校単位で大会に出たい」との声も根強く、自校での部活動に対するニーズが強いことが分かった。

 「平日にも拡大していくこと…

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    内田良
    (名古屋大学大学院教授=教育社会学)
    2024年5月12日1時12分 投稿
    【解説】

    部活動の地域移行については、当の地域で指導を担当してくれる人が見つからないという大きな課題があります。その一方で、教員のなかには、部活動を指導したくて教員になった人も一定数います。いくつかの調査等を見る限りでは、そうした中学校教員は全体の2

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