ワクチン開発9社、異例の声明「拙速な承認申請しない」

ワシントン=香取啓介
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 新型コロナウイルスのワクチン開発を行う世界の製薬・バイオ企業9社が8日、ワクチンの拙速な承認申請はしない、とする異例の共同声明を発表した。申請には安全性と効果の証明が必要だとした。ワクチンは感染拡大を収束させる切り札として期待されるが、政治的思惑で承認プロセスがゆがめられるとの懸念を打ち消す狙いがある。

 新型コロナのワクチン開発で最終の大規模臨床試験(治験)を始めた英アストラゼネカや米モデルナ、米ファイザーなど9社が連名で発表。米食品医薬品局(FDA)などの専門規制当局のガイダンスに基づいて安全性と効果が証明される必要があると強調。「安全性と接種者の健康を常に最優先にする」「臨床試験や製造過程では高い科学的・倫理的水準に従う」などと宣言した。この宣言で「厳格な科学的、規制的プロセスに対する信頼を確保できると信じている」としている。

 世界保健機関(WHO)によると開発中の新型コロナのワクチン候補は約180あり、うち34が治験段階にある。8月にはロシアが、最終の大規模治験を経ないまま「世界で初めて承認した」と発表。当時は初期試験のデータも公表されておらず、批判を受けた。

 米国でも、再選を目指す大統領選を11月に控えるトランプ大統領が、選挙前のワクチン実用化をたびたび示唆しており、政治的な思惑で承認プロセスがゆがめられかねないと、懸念の声が上がっている。(ワシントン=香取啓介)

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