「吉身」読めなかった電話の男 配車係の疑念、事件防ぐ

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新谷(しんや)千布美
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 電話の依頼主が怪しい――。滋賀県守山市の「守山タクシー」の配車係が覚えた違和感が、特殊詐欺で現金などの受け取り役「受け子」の逮捕に結びついた。警察から聞いていた受け子の特徴を覚えていたことで、機転を利かせた。県警守山署は24日、配車係の2人に感謝状を贈った。

 「何分くらいで来てもらえますか?」。今月7日午後0時半ごろ、配車係に「非通知」で電話がかかってきた。若い男の声で、市内にある全国チェーンの飲食店の店名を挙げた。

 応対した三品知寛(みしなともひろ)さん(40)は「2~3分で行けます」。「今市町(いまいちちょう)のお店ですね?」と念押しした。問い直しても返事はなく「今はいいです」と言って切れた。地元の人とは違う声の抑揚もあって、三品さんは「住所を知らない県外の人かな」と思ったという。

 依頼が増える夕方からは、配車歴25年のベテランの岸田健司さん(65)も着席した。6時過ぎ、再び非通知の電話で昼間と同じ店への依頼。雨も降り始めて電話が相次ぎ、手配できる車がなかった。岸田さんが「20~30分かかります」と伝えると、また切れた。

 隣で聞いていた三品さんが同じ男だと気づき、岸田さんに昼間の様子を伝えた。「怪しいっすよね?」。岸田さんもうなずいた。「店近くは住宅街。官公庁もなく、平日の昼間に6時間もいるなんて」

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 数分後、同じ男から「やっぱ…

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